生きた人間の頭部移植が実現? しゃべる生首の恐怖! | 未来塵

生きた人間の頭部移植が実現? しゃべる生首の恐怖!

スポンサーリンク
human-headイメージ

子供のころテレビで見て、トラウマになった映画がある。

ある薄暗い研究室。機械につながれた人間の生首があり、突然その目がカッと見開いてしゃべり出すのだ

なんで忘れかけていたこんな恐ろしい光景を思い出したかというと、最近この記事を読んだから。

●世界初、人間の頭部移植が10年以内に実現
2020/1/3 EXPRESSより

イタリアの脳神経外科医セルジオ・カナヴェッロ博士は「人間の頭部(頭・脳・脊髄)を他の人体に移植する『頭部移植』が今後10年以内に実現するだろう」と述べた。

カナヴェッロ博士によれば、ポイントは「脳に脊髄をつないだまま、ドナーのボディに移植すること」だという。

記事では、イギリスのハル王立病院の脳神経外科医であるブルース・マシュー医師も、脳と脊髄を切り離すことなく移植できれば、不可能ではないと語っている。

現在の医療技術では脊髄を保護している「硬膜」に穴を開けずに取り出すことは非常に難しい

しかしカナヴェッロ博士によれば、手術支援ロボットなどの進歩によって、今後10年以内にはそれが可能になると見込んでいる。

カナヴェレロ博士は、頭部移植の分野において世界をけん引してきたチャレンジャーだ。

1980年代から頭部移植に取り組み、2016年にはサルの頭部移植を成功させた。このサルは倫理的な理由から安楽死させられるまでの20時間生存した。

2017年には脳死したラットの頭部の上に生きたラットの頭部を切断してつなぎ、術後にこのラットが歩く映像を公開した。

2017年11月には中国ハルビン医科大学の任暁平博士の医療チームと共同で、脳死した遺体の頭部を別の死体の脊椎・血管・神経とつなげることに成功したと発表。
(死体だが)世界初の「頭部移植」を成功させたとして話題になった。
以上Wikipedhiaより

そして2018年には、生きた人間の頭部を移植する実験を先の任博士と中国で計画していた。
しかしドナーとして実験参加を申し出ていた脊髄性筋萎縮症患者のロシア人、ヴァレリー・スピリドノフ氏が、土壇場で「恋人ができたこと」を理由に参加を撤回し、計画は中止された。


さて冒頭の機械につながれた生首の話に戻るが、気になって当時テレビで見たと思う映画を調べていたら、それらしき作品がすぐに見つかった。

アレクサンドル・ベリャーエフというロシアを代表するSF作家の小説が原作の「ドウエル教授の首」だ。

映画のパッケージだけ見るとまさに子供のころ見たトラウマ映像に近かったので早速DVDを見たところ、旧ソ連時代に撮影された映画らしく地味で全体的にスローテンポだが、それらしく作りこまれた実験室、科学者の探求心と体のない無力さを訴えるドウエル博士の生首など、なかなか見ごたえのある作品だった。

特に事故によって死んだ(瀕死状態?)別々の人間の首と胴体をつないで復活した女性は、はじめは頭が体をコントロールしていたが、やがて体の人格が現れて混じり「本当の私は頭と体のどっちなの?」人格崩壊してしまう。

このシーンなど、まさにカナヴェレロ博士が計画している「生きた人間の頭部移植」の問題を定義しているといえよう。

体を制御するのは頭の中の脳だが、DNA的には頭より体の体積の方がずっと大きい。体のもつアイデンティティが人格に与える影響は否定できない。


もともとロシアは頭部移植手術に積極的だった。

1950年代の旧ソ連の軍医ウラジミール・デメカー犬の頭部移植実験を行ったが、残念ながら激しい拒絶反応を起こして死亡した(Wikipedhiaより)。

1970年代に出版された旧ソ連の学術書に犬の頭とロボットの胴体をつなぎ合わせたバイオロボット計画の記載があり、「ザ・コリー」と呼ばれたこのサイボーグ犬開発プロジェクトは1958年から1969年まで続いたという。

こちらがそのサイボーグ犬ロボットの動画だ。

The Kollie / Soviet biorobot(youtubeより)
サイボーグ犬
The Kollie / Soviet biorobot(youtubeより)

犬の頭とロボットの胴体をつなぎ合わせたサイボーグ犬は、そのプロジェクトの本質は残酷で倫理に反しているものの、デザインだけはレトロフューチャーでかっこいい。


さてこの「ドウエル教授の首」というロシア映画、生首博士の雰囲気はまさに子供のころ見たトラウマ映画なのだが、海中を泳ぐ男女のシーンなどの映像が美しく、製作年を調べると1984年で比較的新しい。

ドウエル教授の首
「ドウエル教授の首」より

子供のころ見たトラウマ映画はもっと昔でぼやけていた(古いブラウン管テレビで電波状況が悪かったせいもあるが)と他を探したら、次の映画を見つけた。

「美しき生首の禍(わざわい)」という1962年製作のアメリカ映画で、こちらもアレクサンドル・ベリャーエフの小説をベースとしている。

女性の生首の雰囲気はぴったりなのだが、こちらの作品はモノクロで「昔テレビ見た映画はカラーだったよな」ともう少し探してみたら、まさにこれだという作品を発見した。

「怪奇! 呪いの生体実験」という1967年製作の英米合作作品で、ナチス・ドイツの科学者の恐怖の生体実験がテーマ。

この映画に登場する女性の生首は、機械につながれて生きながらえているだけでも恐ろしいのに、「透明カプセルに覆われた頭がハカイダーのようにスケスケで、中の脳みそが丸見え」ってええええ!

こちらは先に紹介した「美しき生首の禍」のリメーク作品らしいが、amazonのレビューの中に「当時テレビで放映され、いろいろな人のトラウマとなった」というコメントを見つけた。

私もまさにその1人。

こんな生首映像ばかり見ていたら、今夜眠るのが恐ろしい・・・。