未来の頭文字D! 自動運転デロリアンがドリフト走行でジムカーナを爆走 | 未来塵

未来の頭文字D! 自動運転デロリアンがドリフト走行でジムカーナを爆走

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Stanford「Beyond the Limits: MARTYkhana」/Youtubeより抜粋

名称:MARTY(デロリアンDMC-12改造車)
製造:スタンフォード大学
全長:4.3m
動力:電動モーター
最大時速:?km/h
搭乗人員:2名(自動運転)
デビュー:2015年

ジムカーナとはパイロン(コーン)が並べられたコースをいかに速く走るかを競うモータースポーツ競技。

ジムカーナで勝つためには、「ドリフト走行」というタイヤを横滑りさせて走るテクニックが必要だが、一般のドライバーが行うのは至難の業だ。

でも、かっこいい。

このドリフト走行で峠道を競い合う若者たち(走り屋)をテーマにした漫画「頭文字D」が’90年代に大ヒットした。

主人公の藤原拓海が操るAE86型スプリンタートレノ(通称:ハチロク)

スタンフォード大学の教授と学生のチームが、なんと全自動運転の車で、ドリフト走行を使って、1kmのジムカーナコースを走らせることに成功したという。

しかも車種はバック・トゥ・ザ・フューチャーに登場するタイムマシンとして有名なデロリアン

バック・トゥ・ザ・フューチャーのタイムマシン「デロリアン」

スタンフォード大学の学生ジョナサン・ゴーたちは2015年に’81年式デロリアンを購入し、外見はそのままに中身を電動モーターで走行する電子制御の全自動運転カーに改造し、バック・トゥ・ザ・フューチャーの主人公と同じ「MARTY(マーティ)」という名前を付けた。

MARTYは屋根に搭載されたGPSアンテナで、車の位置を1インチ(約2.5cm)以内の正確さで追跡でき、コースレイアウトを入力すると、数秒で理想のドリフトルートを計算する。

フロントとリアのブレーキも自動制御され、シャープなターンを連続で迅速に行うことができる。

デロリアンを改造した「MARTY」(Jonathan Goh/スタンフォード大学より)※日本語注釈はBTTP
デロリアンを改造した「MARTY」(Jonathan Goh/スタンフォード大学より)※日本語注釈はBTTP

ゴーたち学生を率いるスタンフォード大学ダイナミック・デザイン・ラボのクリス・ゲルデス教授によれば、今回の成果は雪や氷のような滑りやすい危険な状態の路面を、自動運転の車が、いかに歩行者を傷つけることなく走行できるかの研究に役立つという。

まずはその驚くべき走りをご覧いただきたい。

Stanford「Beyond the Limits: MARTYkhana」/Youtubeより抜粋
Stanford「Beyond the Limits: MARTYkhana」/Youtubeより抜粋

動画全体はこちらから▼


運転席にはジョナサン・ゴーたちが乗っているが、いっさいハンドル操作は行っておらず、コンピューターが路面やタイヤの状態を計算して、アクセル・ブレーキ・ステアリングを制御している。

車内の雰囲気はまさに、’80年代のアメリカ人気ドラマ「ナイトライダー」に登場するAI「K.I.T.T.」を搭載したナイト2000だ。

ナイト2000

現在市販されている車には、走行が不安定になるのを防ぐために、数々の電子制御安定システムが搭載されている。

しかし実際の運転では何が起こるかわからない。

雪や氷に覆われて路面が滑ったり、歩行者が急に飛び出してくるかもしれない。

そのとき安定志向の制御ばかりでは対応できないことがある。

プロのドライバーは急にタイヤが滑って不安定な走行状態になってもドライビングテクニックを駆使して回避するが、そのときに行う運転操作は通常時とは異なる。

通常のグリップ走行時はハンドルで進む方向をコントロールするが、ドリフト走行時にはアクセルとブレーキも使ってタイヤのグリップ力を制御し、進行方向をコントロールする。

この緊急時の特殊な操作は、一般のドライバーではなかなか対応できない。

スタンフォード大学のチームは、緊急時のプロのドライバーのテクニックを研究し、MARTYで同じコントロール操作ができるよう改良を重ねた。

安定した状態でも不安定な状態でも車を安全にコントロールできれば、完全な自動運転にまた一歩近づことができる。

バック・トゥ・ザ・フューチャー+ナイトライダー+頭文字Dの世界を実現させたスタンフォード大学の実験は、あくまでも自動運転の安全性を高めるための研究なのだ。

スタンフォード大学チームのみなさん、次回の実験はぜひハチロク黒のトランザムで!

References: 前進するための横滑りドライブ:スタンフォード大学のエンジニアは、自動運転でドリフト走行するデロリアンが、ドライバーの安全性をどのように改善できるかを示す

2019年12月20日 Stanford NEWS