●ALSを克服するために! 人類初の「サイボーグ化」と「明晰夢」 | 未来塵

ALSを克服するために! 人類初の「サイボーグ化」と「明晰夢」

スポンサーリンク
サイボーグ化と明晰夢

イギリス人の科学者(61歳)が人類初のサイボーグ化手術に挑んでいる。

ロボット工学の専門家で、社会科学者・戦略的思想家などの肩書きをもつピーター・スコット・モーガン博士は2年ほど前にALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断された。

ALSとは手や足や舌や呼吸に必要な筋肉が少しずつ衰えていく病気で、筋肉そのものではなくそれをを動かす運動神経に何らかの障害が発生する。原因はまだわかっていない難病だ。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)
難病情報センターより


ALSを発症する確率は10万人に1人~2.5人と言われ、日本では2014年の調査で9200人がALSを患っており、その数は徐々に増えている。

女性よりも男性の方が1.2~1.3倍ほど発症数が多く、最もかかりやすいのは60代~70代。だがまれに、もっと若い年齢で発症することもある。

家族や身内にALSの患者いると、特定の遺伝子異常が原因で約5%の確率で発症する。


初期の症状は腕や指が動かしにくくなったり力が入らなくなる。

症状が進むと全身の筋肉がやせて力が入らなくなり、歩けなくなる。

水や食べ物が上手に飲み込めなくなり呼吸もしずらくなる。

ただし症状が進行しても、一般的に視力や聴力、意識はしっかりしている。

この病気の残酷なところは、だんだん自由に動かせなくなっていく身体を、少しずつ患者自身が自覚していくことだ。

さらにもう1つ、呼吸のための筋肉が弱まってきたとき、命の選択をせまられる。

呼吸が十分に呼吸できなくなったり肺の病気にかかると、気管切開をして人工呼吸器を取り付けることになる。
しかし患者は命をつなぐ代わりに「声」を失う。

人工呼吸器を使わない場合、病気になってから亡くなるまでの期間は2~5年とされる。

その症状の経過は個人差が大きく、発症から早い時期に呼吸不全を起こすこともあれば、著名な理論物理学者スティーブン・ホーキング博士のように人工呼吸器をつけてからその後何十年も生存した例もある。


モーガン博士は2017年11月にALSと診断された。

●ピーター・スコット・モーガン博士のサイト

モーガン博士が挑戦しているのは、人類初のレベルでの人の臓器から人工臓器への交換手術だ。

すでに胃には栄養補給用チューブ、膀胱にはカテーテル、結腸には人工肛門が取り付けられ、24時間いつでも食事と排泄が可能だ。

そして先日(10月10日)、博士は呼吸不全を解決するために咽頭切除手術にのぞんだ。

博士はこの手術によって他のALS患者同様「声」を失うが、事前に自身の声をデータ化しており、手術後は合成音声で会話が可能になる。


モーガン博士がここまで身体のサイボーグ化にこだわるには理由がある。

本来ならばALS患者がこうした手術を受けることは大きな危険をともなう。

しかし彼はただ「SURVIVE(生き延びる)」ではなく、人と機械が融合した新たな可能性として「THRIVE(成長)」したいのだという。


モーガン博士は顔の表情をAIで合成してスクリーン上に再現するアバターも設計している。

やがて身体のほとんどの筋肉が動かなくなり、視力・聴力以外の機能が麻痺した拘束状態におちいったとしても、博士は希望をもっている。

やがてわれわれは機能不全となった身体の代替となるアバターロボットバーチャル・リアリティ(仮想現実/Wikipedia)に脳を接続することで、不自由な身体から開放され、再び街を自由に歩いたり、さまざまな場所へ旅することができるようになる。

モーガン博士は、同じようにALSで苦しむ患者が肉体の拘束から自由になる道を示すために、「ただ生きる」だけでなく「成長する」選択をしたのだ。

博士のサイボーグ化手術には彼の意思に賛同する企業が無償で協力しており、完成した技術はオープンソース化されるという。


すばらしいチャレンジだ。

しかし現時点でALSの患者すべてがモーガン博士のような手術を受けられるわけではない。

症状の進行度によって大きなリスクをともなうし、費用の問題もある。


ALSの症状は個人によってかなり差がある。

私はALSで親しい人を2人、亡くしている。

1人は残念ながら発症して半年も経たないうちに亡くなった。

もう1人は気管切開を選択し人工呼吸器を取り付け、声を亡くしたもののそれから5年、生き抜いた。

ALSの発症数から計算すると、2人の友人がこの病気になるのは10万分の1から20万分の1の低い確率だ。
何かの縁を感じ、私にできることはないかと考えた。

私はもう1つのサイト「Back to the past」でタイムトラベルを研究しているが、その過程で、夢の中で夢を見ていることに気づき、夢の内容を自由にコントロールできる「明晰夢」という技術を知った。


明晰夢は手足の動かせなくなったALS患者でも、機械に接続することなく、一種のバーチャル・リアリティを体験することができる。

明晰夢を体験した人でないとなかなか実感できないが、それは現実にも勝るとも劣らない生き生きとした鮮やかな印象だ。

私自身もこのテクニックを実践した結果、60日ほどかかったがかなり鮮明な明晰夢を見ることができた。

●「明晰夢を見る方法(3)」(明晰夢実験体験記)

私はALS患者の心のケアの1つの手段として、「明晰夢」を提案したい。


これからご紹介する「明晰夢を見る方法」はオーストラリア・アデレード大学の心理学者デンホルム・アスピー博士の研究をもとにしている。

●デンホルム・アスピー博士のプロフィール


このテクニックを試す前に注意していただきたい点が2つ。

●ほとんどの人がこのテクニックを続けていれば「明晰夢」を見られるようになるが(アスピー博士の実験では1週間で46%の被験者が明晰夢を見ることに成功)、統合失調症のような心因性障害やナルコレプシーのような睡眠障害を患っている人は、睡眠に悪影響を与える可能性があるので避けて欲しい。

●このテクニックは2度寝することが前提なので、集中しすぎると寝不足になる。ほどほどに。


【明晰夢を見る方法】

※ALS患者のために一部テクニックを改修。

(1) 眠ったあと5時間後に目を覚ますようにアラームを設定する。
前提として、明晰夢はレム睡眠のときに見る可能性が高い。

レム睡眠とは、眼球がすばやく運動しているときの睡眠状態で、眠りはじめてから1時間30分ごとに起こりやすく、とくに5時間ほど経過した後のレム睡眠は長時間になる。

5時間後に目が覚めて、眠りの浅い2度目のレム睡眠に入るときがもっとも明晰夢を見やすい時間帯だ。

入眠から5時間後の2度寝のタイミングが明晰夢を見るチャンス
入眠から5時間後の2度寝のタイミングが明晰夢を見るチャンス


(2)マインドフルネスを使ってよけいな考え事をせず、自分の呼吸だけを意識しながら眠りにつく。
眠る前はいろいろ考えず、呼吸に意識を集中させた方が効果的だ。
とにかく自分の呼吸だけに意識を集中して、いち早く寝ることをおすすめする。


(3)5時間後に目が覚めたら、目覚める直前に見ていた夢を思い出す。1~2分とにかく集中して見ていた夢を思い出す。
どうしても思い出せないときは最近見た夢の内容でもいい。そして「次に夢を見ているとき、自分が夢を見ていることを思い出す」と呪文のように何度も自分に言い聞かせる。

ばかばかしいと思うかもしれないが、これが一番重要だ。

途中で他のことを考えてしまったら、心をいったんリセットして、もう一度「夢の中で自分が夢を見ていることを思い出す」と自己催眠のように言い聞かせる。


(4)思い出そうとした夢に戻れるように集中しながら、自分が今夢を見ているのか現実なのかを試すリアリティ・テストをしてみる。

【リアリティ・テスト】
普段目が覚めているときに見る景色と、何か違いがないかを見つける。
何かがおかしければ、あなたは今夢を見ているのだ。


(5)「夢の中で自分が夢を見ていることを思い出す」という呪文を繰り返しながら、眠ってしまえばチャンス。
途中で再び目が覚めても同じように呪文を繰り返す。コツはなるべく前向きにとらえること。明晰夢を見るのだという前向きな期待がチャンスを生む。


(6)明晰夢に入るときに注意すべき現象がある。
不思議な光や恐ろしい怪物を見たり幻聴が聞こえる「ヒプナゴジア(入眠時幻覚)」をときどき体験する。

ヒプナゴジアを恐れることはない。この症状は医学的にも害はなく、むしろこの体験した後に明晰夢を見る確率が高まる。

ヒプナゴジアが起こったときは、幽霊や得体の知れない何かを見てもそれは幻覚なのであわてず、現象がおさまるまで静かに落ちつくこと。
あわてずリラックスして、これもまた明晰夢を見るチャンスだと前向きにとらえる。


(7)残念ながら夢が「明晰夢」にならなかったときも、目覚めたらすぐに夢の内容を思い出す。

※何らかの方法で記録できれば、なお良い。

人は時間が経つとすぐに昨晩見た夢の内容を忘れてしまう。起きてすぐ、他の思考をしない間に行うのがよい。

どうしても夢の内容を思い出せないときは、直前何の夢を見ていたのか断片でも思い出すことに集中し、断片が思い出せたらそこをきっかけに夢を逆再生していくことで思い出せることがある。


これを繰り返せば、そのうちあなたも「明晰夢」を見ることができるようになる。

ただしせっかく明晰夢が見られても、慣れないうちはすぐに目が覚めてしまう。

次に「明晰夢を継続させる方法」を紹介しよう。


【明晰夢を継続させる方法】

(1) 夢の中で夢だと気づいたら、まず落ちつく。興奮するとすぐに目が覚めてしまう。


(2) リアリティ・テストを行う。普段目が覚めているときに見る景色と、何か違いがないかを見つける。
何かがおかしければ、あなたは今夢を見ているのだ。


(3) 夢を安定させるために「これは明晰夢だ」と繰り返し夢の中でとなえる。
普段の景色と違った部分に集中することで、意識を夢の中に閉じ込めることができる。

リアリティ・テストに1度成功すればかなり夢を安定させられる。


(4)「偽の目覚め」に注意。
明晰夢を見て目を覚ましても実際にはまだ夢の中にいるときがある。もう1度何か普段と変わったところがないか、目の前の景色を観察してみる。もし違ったところを発見できれば、もう1度明晰夢に戻れる可能性がある。


この明晰夢テクニックはALS患者だけでなく、病気や事故で身体を動せない人も実践できる。

明晰夢に成功すれば、夢の中で再び身体を自由に動かせ、街を歩いたり、空を飛ぶこともできる。

アスピー博士は、スポーツ選手が怪我をした際のリハビリにも明晰夢が応用できるとしている。

この明晰夢テクニックで、夢の中だけでも身体を自由に動かせる鮮やかな体験が、ALS患者の方への心のケアに少しでもつながればと思い、私はこの記事を書いた。

批判やご意見もあるだろう。メッセージはこちらへ。


この記事を書く原動力となったのは、亡くなった友人の生き方だ。

彼が生きている間に明晰夢のテクニックを教えることができたなら、前向きな彼のことだから、きっと挑戦して楽しんでくれただろう。

ALSは医学の進歩によって、いずれ必ず治る病気だと信じている。それまでの心のサポートに少しでも役立てばと思う。