苦難を乗り越え宇宙旅行を現実に近づけたヴァージン・ギャラクティック(SpaceShipTwo) | 未来塵

苦難を乗り越え宇宙旅行を現実に近づけたヴァージン・ギャラクティック(Space Ship Two)

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ヴァージン・ギャラクティック Space Ship Two
SpaceNewsより

SPEC
名称:Space Ship Two
製造:The Spaceship Company(スペースシップ・カンパニー)
全長:18.29m
動力:ハイブリッドロケットエンジン
最大時速:4,200 km/h
搭乗人員:乗員8名(乗客6名+パイロット2名)
デビュー:2010年10月10日(滑空飛行)・2013年4月29日(動力飛行)

民間で宇宙旅行と言えばイーロン・マスクがCEOを務めるSpaceX社が有名だが、他にも宇宙旅行を目指して研究・開発をしている会社がある。

昨年末(2018年12月13日)アメリカのヴァージン・ギャラクティック社の観光用宇宙船「スペースシップ・ツー」がついに、宇宙と地球との境界と考えられている高度80キロメートルに達した。

Global NEWSより

カリフォルニアのモハーベ砂漠の宇宙港から飛び立ったスペースシップ・ツーは高度83キロメートル・最高速度マッハ2.9を記録した後、無事帰還した。


この日宇宙船に搭乗したのはマーク・スタッキーとフレドリック・スターカウという2名のテストパイロット。なんと乗組員を乗せての宇宙軌道下の宇宙飛行は、2011年7月のスペースシャトル最終飛行以来で、民間では人類初になる。

ただ、ここにたどり着くまで道のりはけっして平坦ではなかった。

2004年9月にはじまったヴァージン・ギャラクティック社の宇宙船開発は、民間による最初の有人弾道宇宙飛行を競うコンテスト「アンサリ・エックスプライズ」の条件を達成し、1000万ドルの賞金を手にした。

そして最初の実験機スペースシップ・ワンが2009年に試験飛行を開始する予定だった。

だが2007年に3人の技術者が爆発事故で死亡。そして2014年10月には試験飛行中の宇宙船が墜落して副操縦士が亡くなり、後退を余儀なくされた。


今回の成功はそのような犠牲の上に成し遂げられたものだ。 ヴァージン・ギャラクティックの創設者であるリチャード・ブランソン氏は次のように述べている。

「今日わが社は、本当に世界を変えるためにスペース(宇宙・空間)を開くことができることを示したのだ」


スペースシップ・ツーはとても特徴的な形状をしている。
パイロット2名と6名の乗客を乗せることができ、母機であるホワイトナイトツーの中央に吊り下げられて飛び立つ。

スペースシップツーと母機ホワイトナイトツー(wikiより)
スペースシップツーと母機ホワイトナイトツー(wikiより)

2019年2月22日には2回目の試験飛行に成功し、3名のテストパイロットを乗せて高度89.9キロメートル・最高速度マッハ3まで達した。

ブランソン氏はアポロ11号のミッションから50年目の今年7月、最初の商用飛行を開始したいと語っている。

さまざまな苦難を乗り越えて進む民間の宇宙開発。

われわれが気軽に宇宙旅行を楽しめる時代がやってきたとき、その背景には数々のトラブルを乗り越えた勇者たちの歴史があることを心に刻んでおきたい。

References: Global NEWS,SpaceNews