まさにナイトライダー! その名も「LiDAR(ライダー)」が自動運転の鍵を握る | 未来塵

まさにナイトライダー! その名も「LiDAR(ライダー)」が自動運転の鍵を握る

ナイト2000風スーパーカーanime

TOP画はランボルギーニ社の「アヴェンタドール」というスーパーカーを「ナイト2000」風にしてみた。

前々からアヴェンタドールって雰囲気がナイト2000に似ていると思っていて、一度作ってみたかった・・・。

ところで「ナイト2000って何?」という方に簡単なご紹介を。

1980年代にアメリカで制作されたTVドラマで、日本でも放送されて人気となった特撮カーアクション「ナイトライダー」に登場する架空の車だ。

●ナイトライダー(wikiより)

ナイト2000はGM社が1982年に発売した「ポンティアック・ファイヤーバード・トランザム」をベースに自動運転機能や銃弾もはじくボディ、ターボブースト(ジャンプして短距離を飛ぶ機能!)をはじめさまざまな機能を搭載したハイテクカー(という設定)だ。

特に搭載されたK.I.T.T.(キット/Knight Industries Two Thousand)というAIと主人公マイケルとのコミカルな会話は、やがて訪れる人工知能と人間とのスムーズなコミュニケーションを予感させた。


さて今回のテーマはAIのK.I.T.T.ではなくナイト2000に搭載された機能の1つ、「自動運転」だ。

その中でも強く印象に残るフロントバンパー中央に設置された「ナイトフラッシャー」と呼ばれる左右に光の流れるスキャナーに焦点を当ててみたい。

実は現代の自動運転技術において、ナイト2000ナイトフラッシャーにあたるその名も「LiDAR(ライダー)」という装置が非常に重要な役割を果たしている。

「LiDER」を紹介する前に、現代の自動運転技術がどれくらいナイト2000に近づいているのかをご紹介しておこう。


日本では米国運輸省道路交通安全局 (NHTSA)の基準を元にナイト2000のような完全自動運転の実現までのレベルを0~5の6段階に分けている。

レベル0は、前方の車に接近しすぎた場合や居眠り運転を検知したときにドライバーに音などで警告する、システムが運転操作に関与しない段階。

レベル1は、ハンドルやアクセル操作、衝突の可能性が生じた場合の自動ブレーキなど、一部の運転操作の支援をシステムが行う。運転の主体はもちろんドライバーだ。

レベル2では、システムがハンドルとアクセル、ブレーキを組み合わせた複合的な運転操作の支援を行う。
高速道路などの自動車専用道路に限定して、前方の車を自動追尾で走ったり、目的地までのルートに合わせて車線変更したりすることができる。運転の主体はまだドライバーで、自動運転中でもハンドルからしばらく手を放していると自動運転が解除される。
現時点(2019年春)では日本や海外の自動車メーカーがこのレベル2を達成した車を販売している。

レベル3になると、運転の主体がドライバーからシステムに移る。
これは画期的なことで、緊急時以外のハンドルやアクセル、ブレーキなどの運転操作をシステムが行う。ただし自動運転が可能なエリアは高速道路や一部の道路に限定されており、事故を起こした場合の責任もドライバーが背負う。
これには問題もあって、例えば高齢のドライバーが緊急時に自動運転から手動運転に切り替わった際うまく対処できるかなどが懸念されている。もしかしたらこのレベル3を飛ばして次のレベル4へ移行するかもしれない。
現時点では一部の自動車メーカーが市販化に目途がついたと公表している。

レベル4では、限定したエリア内と通常の環境という条件付きで、運転はシステムが行う。
だから嵐や大雪などの異常な環境でない限り、ドライバーは運転操作を行わない。レベル4での事故の責任はシステム側になる。
まだ一般道路を走行可能な市販車の目途は立ってないが、空港や工場や交通量の少ない過疎地域などの限定エリアで実験されている。

レベル5は、ついにナイト2000の誕生だ。
エリア制限が解除され、都会などの混雑した道路でも完全自動運転が可能になる。事故の責任や故障時などの対応もすべてシステムが行う。
日本では2025年をレベル5の目標年度に掲げている。

以上から、現時点(2019年春)の自動運転技術はレベル2をクリアして、レベル3~4に取り組んでいる段階だ。

●自動運転車(wikiより)


さて話を「LiDAR」に戻そう。

「LiDAR(ライダー/Light Detection and Ranging)」とは、光を使って周囲の状況をスキャンし、道路状況や人や障害物の存在を調べるレーダー装置だ。

今までのレーダーは電波が主流だったが、は電波に比べて波長が短く指向性が強いので、ずっと精密に対象物までの距離や状態を測定することができる。

自動運転には自車がどこにいるかという位置の把握、また周囲の状況の把握が重要だ。

例えば、高速道路で単一レーンを走行するだけならカメラ技術だけでも十分で、LiDARを使わなくても車線などを読み取って自動運転が可能だ。

ただし、一般道路では交差点があったり、車線が消えかかっていたり、高層ビルにGPSの信号がさえぎられて自車の位置を把握することが難しくなる。

LiDARは中央分離帯やガードレールなどの周囲の道路の状態を読み取って「3次元地図」上で自車の位置を把握する。

さらに狭い場所を走行するときには数cm単位で周囲の物体との距離を測定する必要があり、そのような精密な距離の測定をLiDARは可能にする。


しかし課題はLiDARのコストだ。

業界大手のアメリカのベロダイン・ライダー社LiDARはグーグルをはじめボルボやダイムラー、フォードなどの自動運転のテストカーに採用されているが、高性能なものでは800万円もする。

自動運転技術の進展とともにLiDARの需要は伸びており、その市場規模は2030年には約5000億円まで拡大すると予想されている。

●急拡大!2030年のLiDAR市場、現在の200倍に 5000億円規模、自動運転車普及で
2018/7/3 自動運転ラボより

日本でもパイオニアや東芝、京セラ、コニカミノルタなどの企業が今までに培った技術をベースにしてLiDAR事業に参入している。


さて現在のLiDAR「ソリッドステート(Solid State)式」と、その一種で「MEMS(メムス/Micro Electro Mechanical Systemsの略)式」という方式が主流だ。

開発当初のLiDARは、車の屋根に筒状の機械を設置し、360度回転させることで全方位を観測する機械的な回転方式だった。

回転式LiDAR搭載スーパーカー
回転式LiDARを搭載したスーパーカーイメージ

本体がぐるぐると回転して周囲360度にレーザー光を発射できるので、どこに物体があるか、物体までの距離はいくらか、物体の形状など、かなり正確に把握できる。

その反面、回転式は駆動部にモーターが必要なため小型化・軽量化が難しく、コストも高くなり、デザイン的にも不格好だった。

ソリッドステート式は回転方式のようなメカニカルな駆動部を持たず限られた範囲内をレーザーでスキャンするもので、広範囲をカバーするには複数設置する必要があるが、小型化が可能で壊れにくく、設置場所の自由度が高いのが特徴だ。

MEMS式はソリッドステート式の一種でミラーやコイル、磁石などを用いた電磁式のMEMSミラーを用いてレーザー光を発射する。

例えばパイオニアMEMS式を採用することでモーター駆動部をなくし、耐久性を高めるとともに小型化・軽量化・コストダウンに取り組んでいる。将来的には1万円台の価格帯を目指しているそうだ。


ところでLiDARの設置場所だが、ナイト2000のようにフロントバンパーに内蔵すると、前方に他の車両がいる場合にレーザー光がさえぎられて、遠方まで光が届かなくなってしまう。屋根のようなできるだけ高い場所に設置するのが理想的だ。

となると小型化して屋根の隅や車両の各所に設置するのが現実的で、将来の自動運転車は一目ではLiDARがどこに搭載されているかわからないかもしれない。

小型LiDAR搭載スーパーカー
MEMS式LiDARを搭載したスーパーカーイメージ

最近高齢ドライバーによる自動車者事故が問題になっているが、その対策としても自動運転に取り組むことは重要だ。

自動車産業は日本の基幹産業だ。LiDARを制する企業が自動運転のセンサーを制するとも言われいる。
LiDAR開発における日本企業の活躍に期待したい。

さて将来の自動運転車にはナイト2000のような一目でわかる特徴的なスキャナーはないかもしれない。

でも無理やり(飾りでも)ナイトフラッシャーをつけて、アップルウォッチでK.I.T.T.(実際はsiri)を呼び出すシーンを再現してみたい。


References: 自動運転ラボ