隕石落下は人類最大の脅威!? 今後10年間で危険そうな小惑星リスト | 未来塵

隕石落下は人類最大の脅威!? 今後10年間で危険そうな小惑星リスト

スポンサーリンク
小惑星接近イメージ

巨大隕石が地球に接近して人類の危機がせまる・・・。

20世紀末に公開された「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」、最近では「君の名は。」をはじめ、さまざま映画でさんざん描かれてきたテーマだ。


現実でもNASAをはじめ各国の機関が警戒に当たっているが、それでも網の目をすり抜けて地球に接近する小惑星がある。

「隕石」とは宇宙から大気圏で燃え尽きずに地球上に落下した物体。
「小惑星」とは太陽の周りを公転する小天体で、岩でできていて火星と木星の間にある小惑星帯(アステロイドベルト)から飛んでくるもの、「彗星」とは主に氷や塵でできていて太陽に近づくと溶けて尾を引くもの。

先月(2019年7月25日)にも「2019 OK」という最大直径130mの小惑星が地球から約7万3000km(月と地球の約1/5の距離)というすぐそばをかすめていった。

●「それはこっそり近づいた」:地球をかすめた「シティ・キラー」小惑星に科学者はショックを受けた。
2019/7/26 Washington Postより

「2019 OK」という奇妙な名前だが、そもそも小惑星のネーミングに関しては発見時に付与される「仮符号」というのがあり、「発見年」+「順序符号」という独特のルールで名付けられる。

小惑星の命名法
月探査情報ステーションより

名前よりも問題なのは、科学者たちが小惑星「2019 OK」について発表したのが通り過ぎる数時間前だったことだ。
アメリカとブラジルの天文学チームが別々にその存在を発見したのが、そもそもたった3日前なのだ。

もし「2019 OK」が地球に落下すれば10メガトンの爆弾(TNT換算)に匹敵し、それは1つの都市を壊滅させるほどの破壊力だという。

科学者たちが「2019 OK」を発見できなかった1つ目の理由は「サイズが小さかった」ことだ。
NASAやその他の研究機関は地球に接近する可能性のある多くの小惑星を特定しているが、その90%以上は幅が800m以上の大きさだ。

2つ目の理由は「その軌道が極端に偏っており、速度が速かった」せいだ。
時速87,000kmというかなり速い速度で、極端な軌道のために検出の目を逃れてしまった。

幸い無事通過してくれたのでよかったが、なんとまた今週末(8月10日)にも「2006 QQ23」という直径570mもある小惑星が地球のそばを通り過ぎるという。

●8月10日、巨大な小惑星で地球が揺れる? でも本当に何も心配することはない
2019/8/5 IFLSCIENCEより

NASAによると、小惑星「2006 QQ23」は時速約17,000kmで地球に近づいている。
8月10日に地球から740,000kmの距離を通り過ぎる予定だが、この距離(月と地球の約2倍の距離)ならば何も問題ないそうだ。

もちろん570mもの巨大な小惑星が地球に落下すれば、ただではすまない。

570mといえば東京スカイツリー(634m)に匹敵するほどの大きさだ。

オンライン上で、隕石の大きさや突入角度で地球にどれくらいの被害を及ぼすかシミュレーションできる「Impact: Earth!」で計算すると、この隕石は 16万年に1回地球に接近するレベル で、この大きさの隕石が直撃すれば、4200メガトンの爆弾に匹敵し、そして5.6km~7kmのクレーターができる。

※「Impact: Earth!」のサイトにはAdobe Flashが必要。


ちなみに2013年にロシアのチェリャビンスク州に落下した隕石(Wikipedia)は上空で爆発してその衝撃でソニックブーム(衝撃波)が発生し、建物のガラスなどが割れたりドアが吹き飛び、1491名が負傷した。
わずか17mほどの大きさだったが、その威力は500キロトンの爆弾に相当する。


前世紀に記録に残っている最大の隕石は、1908年ロシアで起こったツングースカ大爆発(Wikipedia)だ。

なかなか隕石の痕跡が発見されず、地下のメタンガスが爆発したとか巨大UFOが墜落した(!)とかいろいろな説が飛び出したが、2013年にウクライナ・ドイツ・アメリカの科学者たちが隕石の微小な残片を発見し、105年ぶりに原因が解明された。

●「ツングースカ大爆発」の原因、解明される
2013/7/2 WIREDより

爆発の威力は5メガトンで、約2150km2にわたって森を破壊したが、人の住んでいない地域だったので幸い人的被害は報告されなかった。


小惑星の大気圏突入時の突入速度や角度によっても異なるが、燃え尽きず地上に落下する隕石の大きさは、岩石質なら数10cm以上だ。

数10m以上の大きさになれば、地上に被害が出る。

数100mになると、都市を滅ぼす巨大なクレーターができ、海に落ちれば数10m~数100mの津波を起こす。

6600万年前、恐竜を絶滅させたとされるメキシコのユカタン半島に落下した隕石は、その大きさが10km~15kmと想定され、できた「チクシュルーブ・クレーター」(Wikipedia)直径160km、爆発の威力は100テラトン(!)のTNTに相当する。

発生した地震の規模はマグニチュード11以上、津波は高さ約300mともはや想像もできないレベルだ。

このとき生物のおよそ80%が死滅したと言われるが、こんな小惑星が地球に衝突すれば、まさに「人類滅亡」だ。


せっかくなので、今後10年間で地球に衝突しそうな小惑星を調べてみた。

●2020年9月1日、「2011 ES4」(Wikipedia)
2011年3月2日に発見された最大直径43mの小惑星「2011 ES 4」は、2020年9月1日に7万5000kmまで最接近する。


●2026年4月14日、「2013 GM3」(Wikipedia)
2013年4月3日に発見された最大直径20mの小惑星「2013 GM 3」は、2026年4月14日に3万9000kmまで最接近する。


●2028年6月26日、「2001 WN5」(Wikipedia)
2001年11月20日に発見された最大直径800mの小惑星「2001 WN5」は、2028年6月26日に24万8800kmまで最接近する。


●2029年4月13日、「アポフィス(2004 MN4)」(Wikipedia)
2004年6月19日に発見された最大直径約340mの小惑星「アポフィス(2004 MN4)」は、2029年4月13日に3万2500kmまで最接近する。

今後10年以内に接近する小惑星と地球との距離
今後10年以内に接近する小惑星と地球との距離


ざっと調べただけでも2029年に最も地球に近づくアポフィスをはじめ、これだけの脅威があるのだ。

だが安心してほしい。

NASAをはじめとした各国の機関が小惑星の観測と、その回避方法を研究している。

●地球を小惑星の衝突から護ってる人たちの話
2019/8/2 GIZMODEより

NASAは来年(2020年)までに直径140m以上の小惑星の9割を特定する予定だ。

日本でも岡山県の上斎原(JAXA)美星(JAXA)に地球に接近する小惑星や軌道上の「スペースデブリ」(宇宙ゴミ)の観測を行うスペースガードセンターがある。


問題は「2019 OK」のような直前まで発見されなかった小さな小惑星だ。

このような小さな小惑星でもロシアのチェリャビンスクの隕石のように人類に甚大な被害を及ぼす可能性がある。

20世紀には核爆弾を打ち込んで隕石をバラバラにするしかなかったが、この方法だと最悪放射能に汚染された小惑星の破片を地上にばらまいてしまうかもしれない。

NASAは今世紀になって別の回避方法を発表した。

●NASAが小惑星の岩を月の軌道へ運ぶ計画を発表
2015/3/30 NATIONAL GEOGRAPHICより

無人探査機を目標の小惑星へ飛ばし、探査機で小惑星の岩石を掘削することで軌道を変えようと計画している。

これには日本の誇る小惑星探査機「はやぶさ」の技術が大いに貢献するだろう。


いずれにしてもわれわれ一般人ができることは、美しい星空を見上げ、いつもとは何か違う異変がないか観察することだ。