未来へのタイムトラベルが現実に! 人工冬眠へ誘導するQ神経を発見 | 未来塵

未来へのタイムトラベルが現実に! 人工冬眠へ誘導するQ神経を発見

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コールドスリープ(Wikipedia/テレビドラマ『宇宙家族ロビンソン』)より

棺(ひつぎ)のようなの装置に入って目覚めると、そこは何十年も先の未来・・・


ついに未来へのタイムトラベルが現実になるかもしれない。

筑波大学理化学研究所の研究チームが、マウスを冬眠のような状態に導く脳のスイッチ「Q神経」を発見したことを6月11日の英科学誌ネイチャーに発表した。

●冬眠様状態を誘導する新規神経回路の発見 ~人工冬眠の実現へ大きな前進~
2020/6/11 筑波大学より

食料の少ない厳しい冬を生き抜く手段として、クマや一部の哺乳類は冬眠することが知られているが、マウスは通常冬眠しない。

冬眠するクマ

今回研究チームはマウスの脳にある「Q神経(休眠誘導神経/Quiescence-inducing neurons )」と名付けた細胞を刺激することにより、冬眠に近い状態を作り出すことに成功した。

「冬眠」とは代謝や体温が低下する休眠が長く続く状態で、冬眠によって少ないエネルギーで生命を維持することができる。
だが冬眠にいたるメカニズムはいままでよくわかっていなかった。

人工冬眠とは?

人工冬眠とは、「コールドスリープ」(Wikipedia)とも呼ばれ、よく知られているのは、生命を保ったまま人間を冷凍させ、必要時に解凍して身体を正常な状態へ復活させる技術だ。

冷凍イメージ

ただし人体を冷凍した場合、水分が凍結した時に起こる体積膨張によって細胞を破壊してしまうため、生命を保ったまま人間を冷凍できるかが技術的な課題となっていた。

今回の発見はこのような冷凍とはまったく違うやり方で人工冬眠へと導く方法だ。

人工冬眠へと導くQ細胞

研究チームの発見したQ神経は体温調整や睡眠などをつかさどる脳の視床下部にある。

Q神経を薬剤で刺激すると通常は約37度のマウスの体温が気温と同じ24度どまで下がり、代謝の働きを示す酸素消費量も通常の1/8ほどに下がって、ほとんど動かなくなった。
これは冬眠にほぼ近い状態だ。

しかも薬剤を止めると、約1週間でマウスは平常の状態に戻り、冬眠の影響を調べたが他の正常なマウスと差はなかった。

小型ネズミのマウスでなく大型のラットでも実験したところ、Q神経の薬剤刺激により冬眠状態への誘導に成功した。


Q神経は他の哺乳類や人間にも存在する可能性が高い。

この技術が人間に実用化されれば、事故にあった人を救急車で搬送する際、傷ついた臓器の損傷を進みにくくさせて治療までの時間を稼いだり、火星のような長期間の宇宙旅行で宇宙船に積み込む食料や酸素を節約できたりと、さまざまな可能性が広がるという。

未来へのタイムトラベルが実現

人工冬眠の技術が完成すれば医療や宇宙旅行などの分野以外にも、私が最も期待する未来へのタイムトラベルが現実になる。

過去のタイムトラベルは矛盾を引き起こす「親殺しのパラドックスの解決」などさまざまな障害があり、本当に可能かは未知数だが、 未来のタイムトラベルは技術的に可能だ。

例えばアインシュタイン博士特殊相対性理論によれば、光の速さに近づけば近づくほど時間はゆっくりと流れるし、一般相対性理論によれば、重力の強い場所にいるほど時間の流れは遅くなる。

だから未来に行こうとすれば超速いロケットに乗って地球に戻ってくるか(自分の時間だけがゆっくりと流れていたので、戻ってきた先は未来の地球)、超重力の星で何日か過ごして地球に帰還するか(同じく自分の時間はゆっくりと流れ、戻った先の地球は何十年も経過している)すればよい。

※詳しくは下記を参照。
●時間旅行入門
Back to the pastより

でも、もっと現実的なのが人工冬眠を利用する方法だ。

人工冬眠マシンを開発し、その中で冬眠することによって身体の老化を遅らせ、数十年後に正常な状態で目覚めることができれば、未来へのタイムトラベルが実現する。

これをアイデアを使った有名なSF小説が「夏への扉」(ロバートハイライン著)だ。

ストーリーもすばらしく、猫好きならさらに感動できること間違いなし。

人工冬眠は「冷凍保存」という今までのイメージを革新する今回の発見。

安全性を確保しながら、早期の人体への応用に期待したい。